皆さまこんばんは、プンクスです。
監査法人会計士の愚痴としてずっとよく聞かれる内容が、
残業代をつけてよいかどうかの議論です。
この論点、働いたのにつけてよいか否かという労基関係のナイーブな議論ではありません。
本論点は、クライアントのフィーが高いか否かで、予算があるかないかを主査始め、監査メンバーが事前に把握していることから、それに応じた監査計画がベースにあることに起因します。つまり、計画を踏まえて仕事をしますが、途中で本当はもっと調べたいが、計画上の数字を逸脱するので、自らしない、という選択肢を取ることがありえます。この意味で「残業をしてよいか」→「残業代をつけてよいか」という解釈となります。
当然に会社単位で監査報酬があり、その監査報酬に見合ったコスト内で監査計画を組むわけですが、不意に残業代がかさむと一気に赤字になってしまうので、主査は常にコントロールしながらアサインして進めていきます。
アサインされる側はアサインされた範囲内で残業代をつけることができるので、ここに制約は本来ないのですが、多くのメンバーはクライアントのフィーについて把握しています。
このため、監査報酬に見合った範囲内でのアサインに対して、皆空気を読みながら仕事をしているわけですね。予算が潤沢なクライアントであったり、審査に当たったりした際は、忙しくなるかわりに、残業代が増え、年収も増えます。
このあたり、若手の残業増に伴う年収は出世につながる評価とは全く別次元の話となりますので、この管理方法はなかなか難しいところですね。
どのクライアントの担当になるかで、自分の短期的な年収が決まってしまいます。しかし、能力が高くても低くても多くの会計士はシニアで監査法人を去りますから、評価と年収は必ずしもリンクしていませんね。この点が不満の源泉です。
この点、時を経て、民間で人を管理するポジションになると、半分はその趣旨を理解できるものがあります。
監査法人であっても民間であっても、大人数を管理するには、わかりやすい数字で、同一の基準で画一的に処理するしかなくなります。
そして、全ての社員を幸せにすることができなくなります。本当にダメな社員に対しては、それなりの対応をしなくてはいけません。
監査法人において、会社ごとに損益を算定してその儲けで判断、評価することは必須です。
この前提において、監査法人のような専門家集団を束ねる組織において、フィットするかどうかがわからない取り組みを毎年トライしているわけです。民間で広く行われている策が通じるかどうかわからない上に、執行部は経営の専門家ではないので、当たりはずれがあるのは必然ですね。
結果として、監査法人の若手の年収は今後も残業代に左右されますが、この流れはすぐには変わらないでしょう。
世論的に残業規制の流れですので、残業が形式的には自然に減少する型が作り出され、実態が変わらないまま自然と年収が減ることにならなければ良いのですが。