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企業内会計士として、内部監査も経験して思うこと

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皆さまこんばんは、プンクスです。

外部監査と転職後の内部監査を両方経験して、この両者について強く実感したことがありますので、今回は企業内会計士の視点でお話しします。

会計士の皆さまは説明の必要もないですが、外部監査とはいわゆる会計士監査で、大きく法定監査と任意監査があります。これに対し、内部監査は企業が独自に行う監査で、監査の主体は社員で、会計士とは限りません。
海外ではすべての会社に対して会計士の外部監査を要求することが多いですが、日本においては、証取法監査や会社法監査などの対象とならない中小企業は外部監査を必要としません。よって、自発的に任意監査を実施するか、何もせず、たまに顧問税理士に見てもらって申告するだけ、という会社がほとんどですね。

この点、内部監査を実施する会社の多くは企業の大小関係なく、本気で誤謬不正を発見したいと考えています。担当役員も同様です。
しかし、外部監査がある場合においても、監査人に対しては、多くの企業は隠すわけではないにしろ、お互い本気で混じり合うことはない。何か出てきたら会社の評価や存続に関わるのが実情ですから、その点わかる気もします。

結果、積極的には協力をしないケースが多いですよね。
具体的には、自分が声を出せば協力する人も、何もしなければ逆に動かない。
何もしないことで、外部監査をやりにくくするわけです。

昔、監査法人という突っ込みどころ満載のドラマで、抜き打ちで工事物件を見に行くシーンがありました。
現実の監査実務では、監査人は大型工事物件をランダムで抽出し、会社に行って良いか事前にお伺いを立てて、その結果会社に断られる情けないケースもあるわけです。建設現場に行ったら綺麗に整理整頓されて書類が準備されているわけですから本末転倒ですね。
邪魔しない代わりにどこの現場に行くか当日までわからないぐらいであれば、本当に有効な監査というものが初めて可能になると思うのですが。

エンロンから中央青山・みすず解体、東芝問題に至るまで、外部監査の限界の問題が解決されていないと感じます。このままですとまたごく当然に不祥事は繰り返され、会計士不要論が繰り返されます。

加えて、内部監査側においても、通常は専門的能力において、外部監査人の集団には劣ります。内部監査側は会社実務・フローはよくわかっているわけですから、わからない点、怪しい点だけピックアップして、馴れ合いのない監査人に任せればどれだけ有効な監査ができるか、、、そのようなプロジェクトチームがいたるところで実現したら、会計監査の一つの革新と思います。

中小企業にも、任意監査という枠を飛び出して、一定の目的を持って監査法人と組んで海外子会社の監査を実施する会社には補助金を出すなど、具体的な施策があれば画期的なんですが。
中小企業に対しては、製造業はものづくり補助金、知財は外国特許出願の助成などありますが、会計税務系は聞いたことがない。日本の中小企業はまだまだ実にすばらしい技術を持った会社であふれていますが、会計実務・内部統制はどこへ言っても欠陥だらけです。

安易に補助金と言うと一般の方に税金の無駄遣いと言われそうですが、外部監査と内部監査が一体となった有効な監査が行われるのであれば、私はそうは思いません。

私はどちらかというと、今は外部監査に批判的なスタンスですが、有効性を高めていく施策は必要と考えます。

これまで多くの会計不祥事により、大小関係なく様々な会社が沈んでいきました。これは日本にとって明らかに損失です。不祥事が発覚してから企業も国家も莫大な損失を被るのに、不正防止や内部統制構築に伴う投資が少なすぎます。

業界を動かすのは一人一人の会計士の力だと思います。私も企業内会計士側の一人として、もっと勉強して仕事して、少しでも強い影響力を持てるよう頑張らないと、と切に思います。

 

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