みなさまこんばんは、プンクスです。
先ほど、驚きのニュースが入ってきましたね。
日産自動車(本社・横浜市)のカルロス・ゴーン会長(64)が自らの報酬を過少に申告した疑いがあるとして、東京地検特捜部が19日夕、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑でゴーン氏を任意同行したことがわかった。事情聴取し、容疑が固まり次第、逮捕する方針。過少申告した金額は億単位にのぼるとみられる。 朝日新聞デジタル 2018年11月19日 17時15分
通常は警視庁(警察)が入念な調査の後に現場に立ち入って押収し、被疑者と関係者を入れ替わり立ち替わり問答無用で警視庁に集めて調書を取り、被疑者を調書とともに検察へ書類送検します。
会計士は専門性を有することから、警視庁に参考として呼ばれる方は比較的多いと思います。ここで呼ばれること自体は、特に事件に関与していない限り、嘘を言わない限りは丁重に扱われます。その後、被疑者については、検察が起訴、不起訴を決めます。
しかし、今回は東京地方検察庁特別捜査部特捜部。
昔、会計士の細野祐二氏がキャッツ株価操縦事件に関連して著書を出されていましたね。特捜部は幸運なことに私はお会いしたことがありませんが、政治経済の大きな案件を取り扱い、上記警察のお仕事を含めて独自に動く専門家集団です。
今回は過少申告に基づく金商法違反です。
詳報も追伸されるでしょうが、ここで適当なことを言って、誤導してしまうといけませんので、事実と報道ベースでじりじりと内容を解説します。
金融商品取引法とは
まず金商法は、会計士の方には説明の必要がありませんが、証券市場における有価証券の発行・売買その他の取引について規定した日本の法律です。
一言で言うと、投資家保護を目的として、株の売買を巡り規定された法律です。
そこには、下記のように記載されています。
第百九十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 一 第五条(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による届出書類(第五条第四項の規定の適用を受ける届出書の場合には、当該届出書に係る参照書類を含む。)、第七条第一項、第九条第一項若しくは第十条第一項(これらの規定を第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による訂正届出書(当該訂正届出書に係る参照書類を含む。)、第二十三条の三第一項及び第二項(これらの規定を第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による発行登録書(当該発行登録書に係る参照書類を含む。)及びその添付書類、第二十三条の四、第二十三条の九第一項若しくは第二十三条の十第一項の規定若しくは同条第五項において準用する同条第一項(これらの規定を第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による訂正発行登録書(当該訂正発行登録書に係る参照書類を含む。)、第二十三条の八第一項及び第五項(これらの規定を第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による発行登録追補書類(当該発行登録追補書類に係る参照書類を含む。)及びその添付書類又は第二十四条第一項若しくは第三項(これらの規定を同条第五項(第二十七条において準用する場合を含む。)及び第二十七条において準用する場合を含む。)若しくは第二十四条の二第一項(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による有価証券報告書若しくはその訂正報告書であつて、重要な事項につき虚偽の記載のあるものを提出した者
簡単に言うと、有価証券報告書に虚偽記載したら、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、または併科が科されるということが記載されています。
報酬の過少申告とは?その内容は?
今回、報酬の過少申告と記載されています。日産の直近の有価証券を見てみると、役員報酬につき下記のような一文が明記されています。
役員ごとの連結報酬等の総額等 但し、連結報酬等の総額1億円以上である者 カルロス・ゴーン 取締役 735百万円 株価連動型インセンティブ受領権 なし
報道によると、直近の役員報酬のみならず、複数年にわたって、グレッグケリー代表取締役との間で実際よりも少ない報酬を開示していたとのこと。
具体的には、2015年6月までの5回にわたって、報酬額合計が99億9,800万円だったのに対し、49億8,700万円と凡そ50億も過少申告していたと、、、
これは監査法人も戦々恐々でしょう、また新日本か、、、ついてないですね。何度かブログでお話しした通り、これが監査法人の怖いところです。彼らが仮に知らなくても、法で不正を発見する義務がないと定められていても、世間に叩かれるし、訴えられる可能性もあるし、少なくとも会計士人生に大きな汚点が生じます。名前が出てますからね。
今回、発端は内部通報のようで、数か月会社も調査を進めてきたようです。これが会社と検察双方へ同時にいったのか、会社側のみで自ら調査したのかによって世間の風当たりも変わってきそうです。これも会計士の機能が問われそうです。
因みに最近の報酬推移はトップ画像の通りです。直近だけ減っていたので、昨年やらかしたのかと思いましたが、報道ではそうではないようです。
スキームはまだ分かりません。ここからは推定になってしまいますので、今後の詳細を待ちます。
日産はよく経理財務を募集していました。人気の企業だったでしょうから、企業選択も難しいですね。実に多くの企業が不祥事に揺れています。