10年以上の多様な経験をもつ公認会計士が、国内外で直面する問題に注目し、経営企画、財務、税務、海外進出、転職まで、人それぞれの道を応援します。

公認会計士プンクスの経営財務・転職ナビ

未分類

日経一面「監査不信」から読み解くPFIの潜在リスク

投稿日:


皆さま、こんばんは。プンクスです。

本日、2018年9月23日の日経、来ましたね。
一面に大きく「監査不信 再び」です。

内容は9月19日のブログ「企業内会計士として、内部監査も経験して思うこと」と似ています。上記ブログではエンロンとリーマンを挙げましたが、日経ではこれを10年周期説として、そろそろ大規模会計不祥事が起こる時期だというものです。

私は日本の監査法人を対象として記述しましたが、日経では大手監査法人のメンバーファームである世界大手ビッグ4を対象として、批難しています。

ビッグ4とは世界大手KPMG, アーンスト・アンド・ヤング(EY)、デロイトトウシュトーマツ、プライスウォーターハウスクーパース(PWC)です。
ビッグ4が引き起こす世界的な会計不祥事は続いており、監査のあり方にビッグ4解体論が浮上するほど問題視されています。ただ、この原因はビッグ4の個々に原因があるというより、監査自体に限界があることに起因します。
不祥事があっても、大企業に対するビッグ4のシェアは大きく、現状寡占状態なので、これ以上潰すわけにもいかないジレンマに陥っています。

有効な施策を講じているわけでもないので、会計不祥事から復活して景気が良くなってから、何らかの問題が定期的に発生し、良好な景気がいつまでも続くことはありえないわけです。
リーマン直後、日経平均が1,000円簡単に下がったりしましたが、これもいつの間にか10年も前ですね。不祥事がないと金融市場は徐々に肥大し、どこかで萎みます。

日経では、本年初頭で問題になった英建設大手カリリオンの経営破綻の記事が挙がっています。この論点やや心得あり、掘り下げてみます。

カリリオンはPFI発祥の地ですが、日本においても20年ほど前からPFI事業を広く取り入れています。
PFI事業には下記のような3パターンに分類できます。

  • サービス購入型 : 地方公共団体等が民間事業者に料金を支払い、民間事業者が利用者にサービスを提供する。
  • 独立採算型 : 利用者が事業者に料金を支払い、事業者が利用者にサービスを提供する。
  • ミックス型 : 地方公共団体等と利用者が事業者に料金を支払い、事業者が利用者にサービスを提供する。簡潔に説明すると、これまで地方公共団体等が行っていた公のサービスを民間に委託するサービスです。例えば日本の刑務所でも、10年以上前からPFIは活用されています。この点、監査の限界を理由とする問題が潜在します。日本のPFI事業は、非常に対象が多く、とても全ての会社を監査できません。PFI事業を行っている会社へ監査人が一年中目を光らせることは不可能です。
    リスクがあるかもしれないのに、十分監査してチェックすることができない。人が足りないからです。そもそも、PFI事業を行う会社に任意監査したとしても、証取法監査でもない以上、限られたfeeに対する予算では経験が浅い会計士が主査にならざるを得ないです。監査の質を保つ上で、非常に苦しいし、怖い話だと思います。今回のカリリオンの件で何らかの措置は講じているでしょうが、監査の限界は残るでしょう。PFI事業を営んでいる会社は、監査報酬をあくまでコストとして見ているでしょうから、feeが上がらないと監査法人もお手上げです。このようなリスクがあちらこちらに埋まっている監査業界は信用も得られないし、働く会計士が負う責任も大きすぎると考えます。

 

週1から柔軟に活躍できるプロ向け案件をご用意【Workshipフリーランス】

-未分類
-, ,

Copyright© 公認会計士プンクスの経営財務・転職ナビ , 2024 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.