コロナウイルスの拡大に伴い、中小企業において急速に資金繰りが悪化しています。
2月にコロナウイルスが拡大し、3月から4月にかけて、国内外のマーケットは完全にストップしています。
中国や韓国、台湾で動き出している情報もあり、中国に至ってはこれは事実ですが、
こと日本との貿易となるとほとんど機能していません。よって、国内ではこの影響は他国より長期化しそうです。
中小企業の助成金とセーフティネットの限界
多くの中小企業で実行していることは、売上減少からセーフティネットや危機関連保証を活用した融資です。
前の記事でお話した通り、この融資は非常に画期的です。
全ての会社が助けられるわけではなく、セーフティネットは区の認定で1か月、危機関連保証などは金融機関との付き合いの多寡で2週間~2か月程度と幅があります。
これで得たお金で多くの中小企業は、希望退職を募って集まらないことを確認してからの整理解雇、退職金の支払に充てようとしています。
このプロセスには時間がかかります。この過程には減給などの対応を施す会社もあります。
雇用調整助成金は、最初2/3、次に8/10(解雇なければ9/10)、そして全額と金額の幅が広がっているように見えますが、この金額は会社は前払いの上、あとで助成金として戻ってくる仕組みです。この戻ってくる金額は、雇用保険の金額から算定されます。
そして、4月30日時点において、上限8,330円という点は変わっていませんので、高給取りの給与支払分はこの割合が変わったからとしても、会社には8,330円しか戻ってこないこととなります。
よって、私の周りでは雇用調整助成金を使わない会社が増えてきています。
これを受けて、給与減額を余儀なくされた方が増えて、給与ファクタリングの広告を多く目にするようになりました。
ファクタリングとは?給与ファクタリングは貸金業?
そもそもファクタリングとは、「企業が商品やサービスの提供後、取引先に対し未回収の代金を受け取る権利(売掛債権)を別会社が買い取り、その債権回収を自ら行う金融業務」のことを言います。
これ自体は債権回収業であり、貸金業にあたりません。
一方、給与ファクタリングは、日々の生活に困った従業員が、ファクタリング会社に給与明細や身分証を提示し、将来の受取の権利と引き換えに、手数料を抜かれた現金を即金で受け取ることができます。従業員は給与受取後、手数料を含めた金額を返済しますので、仕組みとしては極めて単純です。
この点、東京地裁は2020年3月24日の判決で、給与ファクタリングへの初の司法判断を出しました。この仕組みは貸金業法、出資法でいう貸し付けに当たると認定し、手数料が利息年率換算で850%を超えると指摘しました。
よって、契約自体が無効で、業者の行為が出資法違反に当たるとしました。
金融庁も地裁判決前の3月5日、給与ファクタリングが貸金業に該当するとの見解を公表してます。
このため、将来の給与を対象としてファクタリングするのは貸金業法上認められておらず、これに違法な金利が加われば、それはもはや闇金と同じです。
給与ファクタリングは高利であることが多く、悪質な場合は金利が年間1,000%以上の暴利になるケースもあり、仕組み的に程なく生活が破綻することは目に見えています。1か月にも満たない先の収入が減り、将来の支払に変わってしまいますから当然です。
どうしてもお金が必要な場合、このような業者に頼ってしまうケースがありますが、もし万が一手を出してしまった場合、事の大きさに焦る方が多いはず。早急に弁護士や司法書士に相談して対応してください。取り立ての停止や和解などを代行して依頼できます。